いつまでも弟だと思うなよ。
Chapter 3**
◇ チカちゃんとの距離
***
「あれ、可奈子ちゃん。もう学校行くの?」
「あ、おばさん…」
次の日。
どうしてもチカちゃんに会える状態じゃなかった私は、奥原家に寄らずに早めに家を出た。
なのに、出た瞬間にゴミ捨てに出ていたチカちゃんママに遭遇。
「ウチに寄っていかないなんて珍しいわね〜。ていうか、初めてじゃない?」
「あはは〜…そうかも」
そうかも、じゃない。
初めてだ、チカちゃんに会わないで登校するなんて。
「一応受験生だし、早めに学校行って勉強しようかなーって思って。おばさん、チカちゃんに伝えといてもらえますか?」
それなりな理由を並べて、口実を作る。
「あら、偉いわね〜っ。分かった、千景にはちゃんと伝えておくわ」
「ありがとう、おばさん」
おばさんに嘘をつくのは心苦しいけど、今の私にはこうするしかなかった。