いつまでも弟だと思うなよ。

う……。


いざチカちゃんを目の前にすると、チカちゃんの不機嫌オーラが伝わってくる。




やっぱり怒ってる、よね。


昨日チカちゃんのこと押し退けた上に、今朝家に寄らなかったし。


避けてるのバレバレじゃん。





「ち、チカちゃん。その、ごめん…なさい」




とりあえず謝ろうと、恐る恐るチカちゃんを見上げてそう言った。





「………はぁ〜…」

「へ…？」


なんて返事が来るのかとドキドキしてたのに、返ってきたのはチカちゃんの盛大なため息。




キョトンとしてしまう私に、ポン、とチカちゃんの手が頭に乗った。



「ごめん、可奈」


そして聞こえたのは、まさかの謝罪の言葉。





「焦った。今朝うちに来ねーんだもん。あんな事した俺が言える事じゃないけど、俺、可奈にだけは嫌われたくない」



だから、本当にごめん───と。




私が昨日男の人だと認識した彼は、そうは見えなくなるくらい、弱々しくそう言い放った。