いつまでも弟だと思うなよ。
「あの、えと…怒ってない、の?」
チカちゃんがそんなことを言ってきたことに拍子抜けしてしまった私は、疑問に思ってたことをぶつける。
するとチカちゃんは「は?」と意味がわからないと言うような表情を見せた。
「なんで俺が可奈に怒らないといけないんだよ」
「え、だって私避けちゃったから…。さっきも不機嫌そうだったし。それに、昨日だって元はと言えば私がチカちゃんを嫌な気分にさせちゃったからで…」
無意識に声が小さくなっていく。
そんな私に、チカちゃんはまた溜息をついた。
「俺って本当ガキだよな。可奈のこと悩ませて」
苦笑するチカちゃん。
「そんなことない!」
「あるよ。嫉妬してヤケになって可奈のこと傷付けて悩ませて。自分にイラついて怒ってるって思わせちゃったみたいだし」
…じゃあ、私に怒ってたわけじゃないんだ…。
よかった。チカちゃんに嫌われたらどうしようかと思った。
そのことが分かるとスッと肩の力が抜けてしまって、今目の前にいるチカちゃんがなんだかとても愛おしく思い始める。