いつまでも弟だと思うなよ。
「チカ」
「…っ!」
そっと呼んだ名前に、彼は肩をビクつかせた。
そのことは気にせず、私は精一杯背伸びをして手を伸ばす。
───ポン、と。
私はチカの頭を撫でた。
「か、な…?」
私がそんなことをしたせいで、当然本人は驚いた様子を見せる。
放課後とはいえ、人が残ってる教室前でこんなことをすれば周りも流石にチラッとこっちを見た。
けれどそんなことは気にせずに、私は彼の頭を撫でる。
そしてやっと手を下ろした時に、すっかり私よりも背が伸びてしまった弟に視線を合わせて微笑んだ。
「…っ、」
「私、幸せ者だね。チカにそんなに想ってもらえて」
「な…」
「ありがとね、チカ」
精一杯の、私の想い。
チカから貰う好意が家族なのか友情なのか恋愛なのかは分からない。
けど、私からもチカに想いを返したいと思う。