いつまでも弟だと思うなよ。
◆ 他とは違う
* 千景 side **
「おばさん!おはよーうっ」
朝。
いつも通りの時間に、当たり前のように可奈の声が家に響き渡る。
「あら可奈子ちゃん〜。おはよう、いつもありがとね」
「いいえーっ」
そしてお馴染みの会話をする母さんと可奈。
何も変わっていないように見えるいつもの光景。
けど、ただひとつ。
「チーカ!おはよー!」
「…はよ」
「んもーっ。テンション低いなぁ」
可奈の俺への呼び方が変わった。
あの避けられた日から、可奈は俺を「チカちゃん」とは呼ばなくなった。
俺が「可奈」と呼んで怒ることもない。
可奈の中でどういう風の吹き回しなのかは分からないが、少しは男として意識してくれてのことだと信じてる。
「…あれ?チカ、今日スクールバッグで行かないの?」
まだ朝飯を食ってる俺に、可奈は俺が今日持って行くリュックを指差して聞いて来た。