いつまでも弟だと思うなよ。
「えー!楽しいじゃん!みんなでご飯作ってわいわいして。懐かしいなぁ」
そう言って思いふける可奈。
…俺としては、3年も合同がよかった。
ていうか、俺と可奈が同い年ならよかったんだ。
そしたら、俺だって楽しみになっただろうに。
…………。
なんて、考え出したらキリがないよな。
***
「おぉ〜。"チカちゃん"がちゃんと手伝ってる〜」
「…勇太。間違って包丁そっちに飛ばしちゃったらごめんな」
「え、はっ!?や、死ぬでしょそれ!」
人参を切ってる俺の横で、勇太が「すみませんでした」とペコペコ謝り出す。
憂鬱で仕方なかった炊事遠足は今、定番すぎるカレー作りに突入していた。
班ごとに分けられていて、俺のいる班は俺と勇太と河上(カワカミ)、そして女3人の6人グループ。
「奥原くん切るの上手いねーっ」
「…別に。これくらい普通だろ」
中にはさっきから話しかけてくる奴もいて、正直名前すら分からない俺にとっては退屈でしかない。