いつまでも弟だと思うなよ。
「普段から料理するの?」
「たまになら」
「そうなんだ!あたしはよく作るよ!小さい頃からやらされてて」
「ふーん」
適当な相槌を打ってる俺と、そんなことを気にもせず話し続ける女。
名前も分からず、無駄に話しかけてくることに飽き飽きした俺は、勇太に視線を送り助けを求めた。
「お、金城(カネシロ)ちゃん、作るの上手いねー!その手際は普段からやってる感じ?」
俺の視線に気付いてくれた勇太が、すぐさま女に話しかけて話をそらしてくれる。
さりげなく女の名前も教えてくれるこいつは、最早その手のプロかもしれない。
乗せるのが上手い勇太は、金城を見事に俺から遠ざけてくれた。
「相変わらずすげーな、あいつ」
「佐倉のなせる技だよなぁ」
一緒にいた河上と2人で感心してしまったことを、本人は気付いてないんだろう。
結果男勢は火起こし担当ということになり、俺たち3人は金城たちから少し離れたところで火付けを開始した。
何故か手際がいい河上を中心に、黙々と作業を行う。