いつまでも弟だと思うなよ。




「チカの班は何作ったの?やっぱりカレー?」


余程炊事遠足が羨ましかったのか、可奈は楽しそうに俺に尋ねてきた。




「あぁ、そうだよ。イチゴが入ってないカレー」

「な…っ!まだあのことバカにする気!?あれはただ…!」

「あーはいはい。"たまたま"イチゴが鍋に入ったんだよな?」

「う…」



言い返せなくなって言葉を詰まらせた彼女を、抱きしめたい衝動にかられる。




少し動くだけでキスが出来る距離。




…またキスなんかしたら、可奈は怒るだろうか。


それとも、今度こそ口を聞いてもらえなくなるかな。






────あの時はただ…、怖かったんだ。悔しかった。



可奈が他の男に取られそうで。


可奈に俺の気持ちを、どうしても伝えたかった。




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