いつまでも弟だと思うなよ。
…結局、嫌な思いをさせただけだったけど。
まぁ、少しくらいは俺を弟として見なくなってくれたかな、なんて淡い期待もあったりする。
「可奈、悪かったって。そんな拗ねんなよ」
「…次はちゃんとしたカレー作るもん」
「うん。楽しみにしてる」
ぽん、と彼女の頭を撫でた。
…本当、こうしてみれば俺よりも小さくて子供っぽいのにな。
俺の方が2つも下だなんて、考えられない。
「可奈は小さくなったな」
「チカが大きくなったの」
「私の方が大きかったのに」なんて可奈は言うけど、知らないよな。
俺が、好きな女に追いつきたくて頑張って身長伸ばしてたこと。
いつだって、俺の努力は全て可奈に追いつくためだったんだよ。
近いという理由で入ったこの高校も、本当は可奈のそばにいたくて必死で勉強した。
中学の俺は、本当にバカだったから。