いつまでも弟だと思うなよ。
Chapter 4**
◇ それぞれの時間
* 可奈子 side **
「起立ーっ、礼」
「「「さよーなら」」」
今日最後の授業が終わり、それぞれが帰り支度を始める。
私も始めようとしていたけど、あることを思い出してパッと手を止めた。
「可奈子ー。今日千景くん委員会で一緒に帰れないんでしょ?一緒に帰ろ?」
そのちょうどいいタイミングで美沙に誘われ、思わず顔をしかめる。
「ごめんっ!一緒に帰りたいのは山々なんだけど帰れないの。実行委員の引き継ぎ事項まとめなきゃいけなくて…」
美沙と帰りたかったのに、と残念な思いがいっぱいだったが、これは私の役目。
しっかり遂行しなくては。
「あ、そうなの?じゃあ頑張ってこい!」
「うん、ありがとー!」
美沙はそう言い残して、教室を出て行った。