いつまでも弟だと思うなよ。
疑問に思ったところでもう遅い。
一気に機嫌が悪くなるのが分かった。
「やっぱり、あいつに何かされたんだ?」
「……っ!」
まずい。完全に墓穴を掘ってしまった。
「気に入らないんだけど」
「ちょ、近い…っ」
上にいるチカの顔が、どんどん近付いて来る。
瞬間、あの教室での出来事を思い出してしまった。
…ダメだ。
今目の前にいる彼は、普段のあの可愛くて私の大好きなチカじゃない。
私、チカがわからないよ…っ。
「や、めて…。チカには…、」
「あ?俺が何だよ」
逸らせなかった目を、精一杯に本人に向けキッと睨んだ。
「チカには、関係ないでしょ…っ!!」
────そう言った瞬間のチカの表情は、今までで1番苦しそうに見えた。