いつまでも弟だと思うなよ。
「でも宮野。それ、気合いの入れ方違くね?」
「え、そう?」
そう言って真田くんはやっぱり笑う。
「だって、その友達と仲直りしたいんだろ?それとこの作業を早く終わらせるのとは、結果が結び付かないと思うけど」
「そこは気持ちの問題でしょ」
「え、そういうもん?」
キョトンとする私と、楽しそうに笑う真田くん。
真田くんには、チカの名前は伏せて「友達と喧嘩した」とだけ伝えた。
「仲直りするために気合いを入れた」と。
真田くんは気合いの入れ方が違うと言うけど、やっぱりそこは気持ちの問題だと思うのは私だけだろうか。
「まぁまぁ。でもおかげで早く終わったでしょ?ね?」
「能天気なやつめ」
そう言う私達の手元には、後輩たちへ引き継ぐために作った文化祭資料のまとめ。