いつまでも弟だと思うなよ。
「他クラスの子が見たんだって。あんたと真田くんが、玄関前で抱き合ってるとこ」
「玄関前…?」
何か引っかかる節があり、思わず動きを止める。
「………あ」
そして思い出した。
引っかかるどころか、めちゃくちゃ思い当たる節を。
「思い当たることがあるのね」
「ある…けど、全くの誤解だよ!?あれは転びそうになった私を真田くんが助けてくれただけで…!」
弁解したところでもう遅い。
美沙曰く、もうこの噂は3年生には完全に広まっているらしかった。
そしてそれは、昼休みになると更に広まることになる。
「宮野」
「あ、真田くん…」
昼休み。
真田くんがウチのクラスに顔を出し、それだけでクラス内が騒めいた。
「ま、待って!とりあえずあっち行こ!?」
慌てた私は、とりあえず真田くんの手を引いて非常階段のところへ逃げる。