年上の彼。
「俺にもお菓子ちょうだい」

「………私の話、聞いてます?」

近くのコンビニまで食料調達へ行ってきたのだが帰って来たらこの有様。

あぁ…… 私の休日よ、さようなら。

自分のために買ってきたはずのお菓子を彼に渡す。

と、何故かお菓子と一緒にわたしの手も掴まれた。

「お前の事が、頭から離れないんだ。」

「え….?」

「……って妄想をいつもしてんの?」

彼は右手に持っている漫画の1ページを見開いている。

「っ!?ちょっと!からかわないで下さい!」

「……そろそろ現実見たら?」

「ーーッ!?もう!私の勝手でしょ!」

不覚にも彼の一言でドキッとしてしまった自分が不甲斐ない。

あー、もう一緒に居たくない。

けど、ここは私の部屋。どっか行けこの野郎。

「仕事は慣れた?」

「それも漫画の台詞ですか?」

「これは、ただの会話」

急に話してくるからびっくりするじゃない。

「まぁ…… ぼちぼち。」

「いい男、いた?」

「まぁ、ぼちぼち…… 」

「いたんだ?」

何でこんなこと聞かれているのだろう?

「別に、貴方には関係ないでしょっ」

「………関係ない、ねぇ…?」

妖艶な笑みを浮かべた彼はベットから起き上がり私の方へと一歩づつ近づいてきた。

それとは逆に私は一歩づつ後退していく。

「……残念。もう逃げれないね?」

背中が壁にぶつかってしまい真正面には彼の胸元がハッキリと見える。

両手を壁につけ私を見下ろしている彼は妙に楽しそうに見える。
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