愛しているから側にいて。
「もう知らない…出ていく…」
由仁が家を出ていってしまったのだ。
すぐ帰ってくる。
そう思っていた。
しかし、何時間経っても帰ってくる気配がない。
不安になり、スマホを取り出し、電話をかける。
プルルと数回鳴った後、「お掛けになった電話番号は…」と、機械音に変わった。
明日は記念日だからと明日の有給をお互いに取ってしまったことを悔いた。
明日、仕事があれば嫌でも家に帰ってきただろう…
「何なんだよ…」
俺の声は虚しく響き、さして広くもないと思っていたここが、こんなにも広かったけ?と違和感を覚える程だった。