愛しているから側にいて。

**


「あ!おかえり!大翔!」


最近は仕事が思うように進まず、日付が変わってから帰宅することが増えていった。


そんな日々にイライラもした。


けれど、更に俺は目の前でニコニコ俺を玄関まで迎え、そのままリビングまで微笑んでいる由仁にイライラしていた。



「何でこんな時間まで起きてんの?」


俺はリビングに入り、着ていたスーツを脱ぐ。

由仁は、冷蔵庫からお茶を取り出し俺のコップに注いだ。



「…え?」



由仁は、お茶を冷蔵庫に戻すと固まったように俺を見た。



「ねぇ…」


俺の声かけにハッと我に返ったのかモゴモゴと話し始める。


「え、だって、あの…」


煮え切らない由仁の反応に更に腹が立つ。



「何だよ!ハッキリ言えよ!イライラすんなぁ!!」


語尾を荒らげるとビクッと由仁は肩を震わせた。

< 5 / 38 >

この作品をシェア

pagetop