葛城社長と運命の恋を始めます
あの広いお屋敷に住んで、朝陽さんがどう育って来たのかを知りたいし。


お祖父様とお婆様とも仲良くなりたい。


使用人たちとも、出来ればもう少しお近づきになりたかった。


このままだと、朝陽さんに甘えたままで、何も出来ない嫁になってしまう。


葛城家に嫁ぐわけだから、そこで私なりに頑張りたい。


たとえ、それが大変な事になるとしても。


だから、勇気を出して話すことを決めた。


「あの、マンションは探さなくても良いです。私はあのお屋敷に朝陽さんと住みたいと思ってます。」


朝陽さんが路肩に車を停めた。


「はな、自分が何を言ってるのかわかってるの。あの屋敷にはたくさんの魔物が住んでるし、はなをそんな中で暮らさせたくない。」


魔物って、何?


妖怪、もしくは霊とか。


「私は嬉しいわ。はなさんならあの魔物たちと戦えるかもしれないわね。」


いえいえ、魔物や妖怪たちとは戦えません。


ことばが出なかった。


「はなさんは本気なの。」


えっと、朝陽さんを見た。


はなの気持ちは嬉しいけど、あの家は本当に口うるさい奴ばかりなんだ。


両親はいいんだけど、祖父母もかなり口うるさいし。


とにかく、使用人たちが我慢出来ないくらいに、何でも口を出してくるんだ。


若いお手伝いさんは、朝陽さんの嫁の座を狙っていたから、はなの存在をよくは思ってないと。


なるほど、あの視線は怖かった。


でも、別な場所で生活しても、葛城家に嫁ぐのだから、出来ればみんなと仲良くなりたいのが本音。









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