その件は結婚してからでもいいでしょうか
真っ暗なリビングを通り抜け、先生の寝室へ。
美穂子は何がなんだかわからず、先生の首に手を回して落っこちないように捕まった。
バタンと大きな音を立ててドアを開く。先生は美穂子をベッドの上に乱暴に下ろすと、美穂子の上にまたがり見下ろした。
ほんの少し開いたカーテンから、月の明かりが部屋に漏れる。先生の頬に、瞳に、白い光が映っている。
「抱くぞ」
先生の低い声が、室内に響いた。
「へ?」
美穂子の頭は情報を処理できない。
抱くって?
何?
どうなった?
先生は美穂子のメガネを取ると、ベッドサイドに置く。それから自分の春物のセーターを頭から脱いで、床に放り投げた。
先生の上半身は無駄なものがない。
美穂子の酔いが一気に冷める。
私今、すごいことになってるかも。
美穂子は思わず胸元を握りしめたが、先生の指がその手を解く。先生の指が触れると、美穂子の心臓がドキンドキンと暴れた。
先生は片手で美穂子のシャツのボタンを外しつつ、体をかがめて美穂子の首すじに顔を寄せる。熱い息がかかって、美穂子は無意識に「んっ」と声が出た。
あっという間にブラウスが脱がされ、露わになった肩を先生の唇がなぞる。
ぞわぞわする。先生のことを考えると感じる、あの感覚。どうしよう、こんなにぞわぞわに飲み込まれそうになったことない。