その件は結婚してからでもいいでしょうか
キスしながら、先生がスカートをたくしあげた。
声にならない驚き。
まっ、待って、そんな、心構えが!
美穂子は身をよじって逃げようとしたが、先生はがっしりと捉えて離さない。
今日、わたし、逃げらんないんだ。
先生も逃すつもりがない。
するんだ、今夜。
カッと身体がほてる。
愛撫とキスの繰り返し。
乱暴な言葉とは裏腹に、先生の手はとても優しい。
だんだん、心が開いていく。身体と心が繋がってるのを実感する。
深いキス。
意地悪な言葉と、優しげな微笑み。
「せんせ……」
甘い吐息とともに呼んだ。
美穂子は先生の首を抱き寄せる。先生は身体を支えるように、美穂子の背中に腕を回した。
好き。
すると突然、ピリピリピリ。
暗闇にスマホの呼び出し音がした。
先生の動きが止まる。
顔を見合わせる。
ピリピリピリ。
続く呼び出し音。
先生はしぶしぶ自分のデニムのポケットからスマホを取り出し、着信を確認した。
ーー冷める。
そう表現するのが、一番当てはまってる。先生の瞳から、欲望が抜け落ちた。するっと先生の奥へと戻っていく。
半裸の美穂子を見下ろし、先生は「……ごめん、ちょっと」と言ってベッドを離れた。