その件は結婚してからでもいいでしょうか
「……なんだ」
美穂子は言った。
「これこそ、幻滅?」
先生が美穂子の顔を心配そうに覗き込む。
「いいえ、ホッとしました」
美穂子はニコっと笑い返した。
先生も笑う。
それからそっと顔を近づけて、美穂子の唇に優しくキスをした。
「やっとキスできた」
先生が言う。「美穂ちゃんにはエロいキスしかしてなかったから、後悔してたんだ。本当は、こんなキスから好きが始まる」
とくとくとく。
心臓がずっとなりっぱなしだ。
美穂子は自分の唇を触る。
「少女漫画のキスですね」
「うん」
「このキスも好きだけど、先生のエロいキスも好きです」
そう言うと、先生は面食らったような顔をする。それから楽しくて仕方ないというように、声に出して笑った。
「ずっと一人だったから、毎日退屈だったんだ。美穂ちゃんが来てから、楽しくて仕方ないよ」
ぎゅっと美穂子を抱きしめる。
先生の香りに包まれると、ドキドキが早まった。でも心地よくて、まるで夢の中にいるようだ。
「じゃあリクエストに応えて、エロいキスもするか」
先生はそう言うと、美穂子を腕に抱いたまま、深いキスをはじめた。