その件は結婚してからでもいいでしょうか
なにがおこったの?
ベッドの中で、美保子はやきもきした。
「や、山井さん、落ち着いて」
「どうしてです? 夢の中なら、自由ですよ。しかもこんな最高の夢」
「わわわ、そこ、さわんないで」
先生が悲鳴をあげる。
美保子は堪えきれなくて、布団を跳ね上げた。
「山井さん! やめてっ!」
ベッドから飛び降りると、床の上に倒れた先生と、その上にまたがる山井さんが目に飛び込んできた。山井さんは下着だけだ。
衝撃的な光景。
ごくんと美保子は唾を飲んだ。
「あり? 美穂ちゃん、なぜここに?」
ベルトに手をかけていた山井さんが、首をかしげる。
それから「もうっ、夢なんだから、好きにさせてよー」と頬を膨らませる。
よく見ると、山井さんの全身は真っ赤で、ほのかにお酒の匂いが漂っていた。
「帰って、ほら」
美穂子は、しっしっと手でおい払われる。
「山井さん、夢じゃないですから、先生の上から降りてください」
「なんでよーっ。だって桜先生がこんなイケメンだって、夢以外ありえないじゃん。ねーっ」
先生に向かって、にっこりと笑う。
先生は「ははは」と虚しい笑い声を出した。