その件は結婚してからでもいいでしょうか

「じゃあ」
美穂子はごくりと唾をのむ。

「脱いでください」

先生は面食らって「今?!」と叫んだ。

「体がわかんないと、描けません」
「わかるけどさああ」

先生は頭を抱えた。
そして小声で「電気、消してもいい?」とたずねた。

「それじゃ描けないじゃないですか」
「だよね」

先生はそっとため息をつくと、毛布を頭からかぶり、背を向けた。

「脱ぐけど、そんなじっくり見るなよ」
「えー?」
「あったりまえだろっ」

先生は恥じらいながらも、毛布の中でゴソゴソと下を脱いだ。

「あーなんだこれ、すげー恥ずかしいことさせられてる」
先生は毛布の中で、ブツブツと文句をいう。

美穂子は徐々にさっきとは別の緊張感が出てきた。
見せて欲しいとは言ったが、果たして直視できるシロモノなんだろうか。

毛布から頭を出して、くるっとこっちを向く。
眉間にしわがよって、極めて渋い顔をしている。

「今から見るの?」

美穂子は勇気をもって、コクンと頷いた。
「今から」

「じゃあ、俺が見せたら、美穂子も上脱ぐんだぞ」
「えっ?」

美穂子は驚いて息が詰まった。

「俺だけじゃ、割に合わない」
先生はニヤリとわらった。


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