その件は結婚してからでもいいでしょうか

「スカートは?」
先生が尋ねた。

「す、スカートは……」
声が絡む。

「先生の番が終わってからです」
美穂子は強気にそういった。

本当はもう、先生に強引に引き倒されたかった。
あの先生の温度に包まれたかった。

でもわたしは漫画家。
前後不覚に陥る前に、まだ知りたいことがある!

「俺もう、脱ぐもんないんだけど?」
「こっコン○○ムをどうやって使うのかみたいですっ」

美穂子はその謎のアイテムを見てみたかった。この漫画を描くことになって、自分なりに他の漫画を読んだりしてみたが、その描写はいつも曖昧で、はっきりとは描かれていない。

それって、どんなもの?

先生は面食らった顔をして、それから笑う。

「だから、美穂子がいいんだなあ」
「どういうことです?」
「一緒にいると、飽きないってこと」

先生は美穂子を再び手招き。
美穂子は素直に先生の横に座った。

先生は枕の下から、小さな正方形のものを取り出した。

「はいどうぞ」
先生に手渡されたものを、美穂子はじーっとみる。

「開けていいよ」
美穂子は言われるままに開けてみた。

中から、美穂子の人生で初のシロモノが……。

「せんせ」
「ん?」
「これ、どうするんですか?」
「これはですねー」

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