その件は結婚してからでもいいでしょうか

先生が言いづらそうに顔を歪める。
「かぶせます」
「……ミギーに?」
「ミギーに」

美穂子は首をかしげた。
「先生のミギーには、これ、大きすぎませんか?」

先生は「ははは」と笑う。
「今なら、ちょうどいい感じだと思うけど? 確認する?」
「はい」

美穂子は毛布の中を覗いて、目を丸くする。

先生のいう通り、ちょうどいい感じ!

「先生、でもこれかぶせちゃったら、ミギーが窒息しちゃいますねえ」
「ミギーじゃないし」

先生が眉を寄せて困ったように言う。

「それで、いつも先生は枕の下に、置いとく、と」
美穂子は確認するように、もう一度枕の下を探った。

「残り、三つ」

先生が「いやいや、念のためっ。っていうか、これが一番恥ずかしいんですけど」と慌てた。

「お掃除するとき、見つけたことないんですけど」
「そりゃ、いつもはないよ」
「じゃあ、今日は……」

先生がぐいっと腕をを引っ張ると、美穂子はベッドの上にコロンと転がった。

息がつまる。

「美穂子を抱くからに決まってるだろ」
先生は美穂子を見下ろしながら、そういった。

ばくばくばくばく。

また激しく心臓が打ち始めた。

「すっ、スケッチしなくちゃ!」
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