その件は結婚してからでもいいでしょうか

「山井さん、ストーップ」
小島さんの大声が響いたが後の祭り。

山井さんは、半裸状態の二人の前に躍り出た。
後ろから、ドタドタと小島さんと吉田さんがなだれ込む。

「美穂ちゃんっ! 嘘つきっ! 夜のお勤めはないって、言ったじゃんっ」
鬼の形相で、山井さんが叫ぶ。

美穂子はバランスを崩して、ベッドから転がり落ちた。
先生は下着をかろうじて履いているのみ。慌てて毛布を巻きつけた。

「いや、これは……」
先生はさっきのSモードはどこへやら、山井さんの剣幕に圧倒されて、呆然としている。

「漫画のネタのためにエッチするっていうんなら、わたしがします! 先生とするのを、美穂ちゃんが観察すりゃいいでしょーっ」
山井さんがわめいた。

「経験はあったほうがいいからさああ」
小島さんは、ほとほと困り果てたというように、眉をしかめる。
「ごめん、美穂ちゃん。口すべらしちゃった」

吉田さんだけ、状況がわからない。
それでも人生初の修羅場に、興味深々の様子。じっくりと先生を見つめ続ける。
「先生がパンツしかはいてない……のは、なぜ?」

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