その件は結婚してからでもいいでしょうか
部屋がしんと静まりかえる。
美穂子は固唾を飲んで、成り行きを見守った。
「わかりました」
山井さんは自分のメガネを直した。
先生の顔に安堵が広がる。
美穂子もほっとして肩の力が抜けた。
「彼女が入ってもオッケーです。3Pでやりましょう」
山井さんが高らかにそう言い切った。
わかってなかったーっ!
先生が「いやいやいや」と手を振る。
「ちょっと、それは彼女にはハードル高すぎますし」
なんだ、その断る理由!
「俺は、あのですねー、彼女と真剣に交際したいって、言ってて」
「いいですよ」
山井さんはしれっと頷く。
「でもそこに山井さんが混じるっていうのは……」
先生は完全にお手上げ状態になっている。
美穂子はもうどうしたらいいかわからない。
先生とエッチするのは、もうこのまま永遠無理なんじゃなかろうか。
「だって、先生はまだ、独身でしょっ!」
山井さんが叫んだ。
「まだ、既婚者じゃないっ! じゃあ、フリーってことなんですよ! 今誰が好きだろうが、誰と付き合おうが、独身だったら関係ないんですっ」
山井さんは大声で喚きながら、とうとう泣き出した。
「わたしが先生のアシになってから、ずっとずっと先生のことだけを見てきましたっ。そこの美穂ちゃんよりも、ずっとずっと深く先生を愛してるんです。先生が誰かと結婚するまでは、わたしはぜったい諦めませんっ」