その件は結婚してからでもいいでしょうか
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一時間後。
「先生……」
「うん?」
布団の中がまだ熱い。
「わたし、先生とは結婚しません」
美穂子は先生の毛布を奪いながら、勢い良く背を向けた。
「なんでさ」
先生は不服そうに肘をつく。
「だって、先生痛くするんだもん」
「そりゃ、誰だって最初は痛いよ?」
そう言って、美穂子の腰のラインを撫でた。
「結婚したら、毎日こんなに痛いなんて、死んじゃう」
「だんだん良くなるはず」
美穂子はガバッとツップした。
「これじゃあ、どうやって漫画描いたらいいか、わかんないっ」
美穂子は最中、とにかく呻くばかりだった。
痛みで気絶しそうになりながらも、先生がしっかりと抱きしめてくれたから、なんとか意識を保つことができたけれど。
でも、痛すぎた。
もう二度とごめんだ。
「小島さんの、嘘つき〜」
美穂子はシーツに顔をうずめながら、ブツブツと文句を言った。
「なんで小島さんが出てきた?」
先生が後ろから美穂子を優しく抱きしめる。
痛みは怖いけど、こうやって肌と肌がくっつくのは、素敵。
「小島さんが『先生が天国に連れてってくれる』って言ったんですよお」
「天国かあ」
先生がクスッと笑う。