その件は結婚してからでもいいでしょうか
「メロンじゃないの?」
太宰が不安そうな顔をした。
「ごめんごめん。メロンだと思うよ。俺もよく知らないし」
先生がフォローし、太宰を慰める。
美穂子はなんだかバカらしくなってきて、二人を放っておく。芥川の横をすり抜けて、部屋へと入った。
ちょっと居ない間に、随分と様変わりしている。自分の部屋には、芥川のものが散乱していた。
「最悪」
美穂子はこみ上げる嫌悪感と戦いながら、大きなバッグに画材と日用品を詰め込んだ。
「美穂ちゃん、ごめんね」
めぐちゃんが謝った。
「いいよ、別に」
美穂子の口調は、静かな怒りを秘めている。
「あのイケメン、誰なの?」
そんな怒りに気づかないのか、めぐちゃんが気軽な感じでたずねてきた。
「イケメン?」
またここでも、先生がカッコイイ判定をもらってる。
先生って、三次元の世界ではかっこいい部類に入ってるんだろうか?
「ちょっとお世話になってるの」
美穂子はカバンを背負って玄関から外へ出る。
「もしかして、一緒に住んでる?」
めぐちゃんが興味津々で聞いてきた。
「さあ」
美穂子はごまかした。自分が三次元の男性と一緒の部屋に住んでいるなんて、どうしても知られたくない。