その件は結婚してからでもいいでしょうか
「いてっ」
枕は先生の顔面に命中。
「なんだよっ!」
先生が怒鳴った。
「先生、昨日、わたしにえろいことしたっ」
美穂子は叫んだ。
先生がひるむ。
それから「だって、美穂ちゃんが『触って』とかなんとか、言ってくるから」と言い返した。
「そんなこと言ってないもん」
「言ったよ! 都合よく自分のセリフだけ忘れんな!」
「仮に言ったとしてもっ」
美穂子は怒鳴る。
「それでもあんなことしないのが紳士ですっ」
「あのなあ」
先生が頭をかく。
「目の前に酔っ払ってピンク色になった、可愛い女子が寝てんだぞ。その子が『触って欲しいです』って言ってきたら、どんなに理性がきく男でも手を出したくなるもんだ」
「先生は酔っ払った女子になら、誰でも手を出すんだ!」
「ちがう! 一般論を話してるんだろーっ」
息も荒くにらみ合う。
「とにかく……」
先生が大きく深呼吸をしながら話し始めた。
「俺は、止めた。『止めらんない』って警告したら、美穂ちゃんは『止めないで』って言ったんだぞ。もう抱いていいっていう許可じゃないか! でも、俺は全力の理性で止めたんだ。そこを評価しろ」
「なんで止めたんですかっ」
「だって、絶対酔っ払ってるせいだって、思ったし。欲望と戦ってる間に、美穂ちゃんはぐーぐー寝始めるし。これでヤっちゃったら、ちょっと犯罪の香りすんな、と思ったら、止めるしかないだろっ」