その件は結婚してからでもいいでしょうか

「先生に聞いていいんですか?」
「いいよ、なんでも聞いてよ。ははは」

先生は立て続けにごはんをほうばった。

「じゃあ……」
美穂子は箸を置いた。

「どうやって、そういう流れになるんです?」
「えっとそれは」

先生の頬がピンクに変わる。口をもぐもぐさせながら、思い出すように右の上を見た。

「まあ二人きりで、なんかちょっと手とかが触れちゃって。キスして、それでだんだん」
先生が口ごもる。

「キスは、ビデオで見たみたいな、なんかエロいやつですか?」
「……はい」

先生が悶絶し始めた。顔を覆う。

「それで?」
「だんだん気持ちが高まってきて、服に手を入れたりして……」
「ブラを取る?」
「すいません、取ります」
「先生って、片手でホック外せるんですか?」
「できます。ごめんなさい」

そこで先生が「あーっ、もう!」と叫んだ。

「これ、逐一説明すんの? どんな羞恥プレイだよ」
「だって、漫画じゃこの部分、わかんないんですもん。キスして、次のコマでもうベッドの中で事後ですよっ」

そういうと、先生が笑う。
「そうだな、そういえば」

「だから、その間に何が起こるのか。布団に倒れこんだら、途中で布団をめくって入らなきゃいけませんよね? それはいつなのか。男性が下着を取るのはいつなのか。だって漫画では背中しかかきません。もしかしたら、着衣のままでできる、そんな方法があるのか、とか」

美穂子は力を込める。

「知りたいじゃないですかっ」
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