その件は結婚してからでもいいでしょうか
男女が絡むって、どこをどんな風に。
最中の顔って、どんな顔?
模索しながら描き出す。
ピンとこないから、想像のみだ。
もし先生のあの指で触られたら、わたしはどんな気持ちになるのかな。
気持ちよすぎて、わけわかんなくなったりするんだろうか。
しばらく時が経つのも忘れ、描きまくった。どの絵もしっくりこないけれど。
「よくわかんないなあ」
そう言ったとたん「頑張ってるね」と声が聞こえた。
驚いて顔を上げると、先生が手にマグを持って立っている。マグを美穂子の前に置くと、先生は隣の椅子を引っ張って、背もたれを抱えるように反対向きに座った。
美穂子はとっさに手元を隠す。
「だめ、見ないでくださいっ」
「なんで?」
「エロい絵なんか、見せたくありません」
美穂子は恥ずかしさでいたたまれなくなった。先生に見られるなんて生きていけない。
「俺もいろいろ描いたことあるし、それも美穂ちゃんに見られちゃったし、お互い様だよね」
笑いながら、美穂子の手の下から紙を抜き取った。
しばらく無言で美穂子の絵を見る。
美穂子は恥ずかしさが頂点に達して、顔を覆って机にツップした。
「美穂ちゃんはうまいよ。絵が綺麗だ」
先生が言った。
「な、何か、アドバイスいただけますか?」
美緒子は顔を隠したまま言った。