幸せなありがと。
「はい。お弁当。今日は良いお天気だから傘はいらなそうね。」




「そうだね。昨日の雨にはびっくりしたよ。良いお天気なのに君が傘を持たすからさ。」




「野生の勘かしらね~。ハンカチ持った?」




「おぅ!じゃ行ってくるよ。」





「気をつけて行ってらっしゃいませ。」




こんな話をしながら会社へ向かったんだと話してくれたパパ。





ママと一緒に黒い車から降りてきたパパは、





真っ赤に目を腫らして、私とゆきくんをぎゅうっと抱きしめてくれました。





「ママにお帰りって言おう。」





そういうと大きな手で涙をぬぐってくれました。





はじめて目の当たりにする光景に、ゆきくんは声を押し殺して泣いていて、





もちろん私も初めてで、ママの姿をちゃんとみてあげることが出来ませんでした。





おじいちゃんがママの顔を見つめながら、




「わしたちのために頑張ってくれてありがとう。こんなに頑張っていてくれたんだねぇ。おばあちゃんが待っているから一緒に楽しんでおいで。」




と、語りかけるのを聞いて、私の目からは止め処なく涙が溢れていました。




パパが病院に着いたときには、ママの意識は既になくて、必死の呼びかけにホンの数秒答えて息を引き取ってしまったと聞いて、




ママはパパに会いたかったのかなと思いました。
















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