幸せなありがと。
「おじいちゃん。この子の名前決めました。」




テレビの中からおばあちゃんの元気な声が聞こえています。




「なんだって、わしが決めると言っただろう。」



おじいちゃんが静かに取り乱しています。




そして、二人のやり取りに画面が揺れています。




カメラを持つパパの腕が笑ってしまってぶれているのです。




見ている私も笑ってしまうくらいガタガタなんです。




ママの声も笑っています。




おじいちゃんがブツブツと唸り始めたとき…




おばあちゃんが切り出してくれました。




「この子の顔見ていたらねぇ。優しい顔で思わず笑顔がこぼれてしまうのよ。だから




優しく笑うで優笑(ゆみ)がよろしいなぁと思いまして。」




おばあちゃんの発案におじいちゃんも落ち着きを取り戻してくれました。




「なんだ、わしのと変わらないな。焦って損をしたよ。」




そういって取り出した半紙には、おじいちゃんの達筆で「優美」




おじいちゃんとおばあちゃんは息がぴったりでした。




「あらら。どちらも素敵ですね。」





「優笑の方がかわいらしいな。わしには笑みを使うなんて思いもよらなかったよ。」




こうして満場一致で私の名前は優笑に決まりました。




おばあちゃん、おじいちゃんありがとうございます。




私は、素敵な名前をいただけて幸せです。




おばあちゃんみたいに私もなりたい。



大らかな優しい即決力のある人になりたいです。







< 7 / 19 >

この作品をシェア

pagetop