空に近く

「何で注射器、お腹に射すの?」

「柔らかいとこに射すの」

質問攻めが始まろうとしている。

「へぇ…なら何で屋上にいるの?昼寝じゃないでしょ?」

緋奈は深く追求する。
ボクは言った。
素直に、今、屋上にいる意味を。

 「死のうと思って来た」

緋奈は不思議そうに

「どうかしたの?」

と、問う。何気ない一言がボクを責める。

「ごめん」

緋奈が、何故か謝ってしまった。
何も言えない自分。
悔しい…。
――…苦しい。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop