空に近く
怒鳴る先の言葉の予測は出来ているはずがなかった。
「あたしは、ユキくんが好きだから、知りたいの。
あたしだけが、すべて知りたいの。」
静かになった。
互いに顔を真っ赤にした。
そして、沈黙が続き、ボクは緋奈の言葉を止めた。
「それ以上、言わないで」
止めた理由は簡単で、泣いてしまいそうだったから。
「何か言ってよ…ユキくん。
恥ずかしいから」
視界が霞む。
もう何も言わないで下さい。
少し深く息を吸った。
「ボク、難病なんだ。
―…多発性硬化症」
タ ハ ツ セ イ コ ウ カ シ ョ ウ
初めて自分から他人に病名を告げた。
「死んじゃうの?」
その質問に、ゆっくり微笑む。
「死ねないんだ…難病なのに」