俺の生きる意味を探して
俺はそっとしゃがんで湯浅喜右衛門の顔を覗いた。
目は開いていない。
だが、胸は動いているようだ。
かなり荒いけど呼吸もしてる。
……なら
「生きてるみたいだし、起こすか。」
ドスッ
一発蹴り入れれば起きるっしょ。
「ぐっ……。」
斉藤さんは信じられないと言う目で俺を見つめている。
「起きた?」
「……。」
返事は無いが、湯浅喜右衛門の目に微かに俺が映っている。
「これからは俺が拷問……間違えた。尋問をするからよろしくね。」
にっこりと俺は言った。
湯浅喜右衛門の目は少しだけ動いた。
「俺は……何も、知らないっ」
「ふーん。早く吐かないと、痛い思いをするだけだよ?」
そんなの嫌だろ?と俺は救いの手を差し伸べてやる。
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