俺の生きる意味を探して
俺は斉藤さんの方を向いた。
きっと、今までに無いくらい、笑顔だったかもしれない。
てゆーか、背を向けたままでも俺の感情に気付くとか、斉藤さんホントに敏感なんだなぁ……。
これからは気を付けないとな。
とりあえず、爪を剥ぐか。
ペンチみたいなの無いかな?
無いなら、俺の手で一つひとつ剥ぎ落とすか。
正直、触りたくないけど。
「はーい、手ぇ出して〜」
やるしかないよね。
「っっ、何、をする気だっ」
湯浅喜右衛門は問う。
答えは一つ。
「楽しい尋問だよ。」
楽しみだね、と笑いかける。
湯浅喜右衛門の顔は見る見る青ざめていく。
俺の言葉を聞いて自分の末路を察したようだ。
今さら気づくなんて鈍いね。
俺が手を伸ばすと湯浅喜右衛門は身を捩り、俺の手から逃れようとしていた。
無駄なのに。
「……仕方ない。斎藤さん、この人の体を押さえてくれますか?」
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