俺の生きる意味を探して
「……そうか。」
「藤堂さん、ありがとうございます。」
「いんや、こっちこそありがとう。これからよろしくな、昴。」
……名前を呼んでもらえるのがこんなに嬉しいとは知らなかったよ。
むず痒いけど、俺を冷たく凍らせていた氷が溶けていくようだ。
「はい、よろしくお願いします。藤堂さん。」
この時の俺は今までに無いくらいの笑顔だった。
「幹部と桑原は俺の部屋に戻るぞ。お前たちは引き続き稽古をしていてくれ。」
隊士たちの元気な返事を聞き、俺達は道場をあとにする。
土方さんについて行こうとしたら
「桑原くん。」
山南さんに呼び止められてしまった。
「はい?」
「君は優しいんだね。」
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