俺の生きる意味を探して
「……お前はなぜ踏み込まれたくないんだ?」
副長さんが聞いてきた。
なぜ、ねぇ……。
「ウザいから。相手の事を知れたと思って馴れ馴れしくしてくる人間が大嫌いだからですよ。」
にこりと、俺は笑みを浮かべる。
「ここは人斬り集団のくせに、よそ者の俺に馴れ馴れしくしてきますよねぇ。俺、そういうのいりませんから。」
「昴、本気で言ってるのか?」
人を信じる事しか知らなそうな藤堂さんが聞いてきた。
「この期に及んで俺は嘘なんて言いませんよ。」
藤堂さんの瞳はまるで“信じていた人に裏切られたかのように”揺れていた。
勝手に信じて、勝手に裏切られたように思っているのか、この人は。
「そう、か……。」
藤堂さんは喉から声を振り絞り俺の答えを聞いていた。
「やっと、本性を現したな、お前。」
“やっと”?
よく言うね、どうせ最初から気づいていたくせに。
そう思い、俺は土方歳三へ鋭い眼を向ける。
< 96 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop