俺の生きる意味を探して
そして、俺は枡屋喜右衛門が捕らえられている蔵へ入った。
うっ。
なんだ、この臭い?
血やら何かが焦げた臭いやらがする。
頭がおかしくなりそうな蔵だ。
「ここだ。」
案内された場所には血まみれのヒトがいた。
「この人が……枡屋喜右衛門ですか?」
「あぁ。」
生きているのか死んでいるのかも分からないくらい、酷い状態だった。
まぁ、蔵に入れられていると言う事は、生きているのだろうけど。
俺は躊躇なく重い檻の扉を開けてヒトらしきものの前へ歩いた。
ギィィィィィ
「おいっ!」
斉藤さんがらしく無い声を出す。
「ねぇ、あんた生きてる?」
生きてるかどうか確かめる為に、試しに聞いてみた。
……返事はない。
近づいて見た方が早いか。
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