あの日の夕暮れ〔詞集〕

おもかげ―祈る月宵―

橘の香 ふっと頬をなでる
ねぇ 傍にいてもいい?
嬉しすぎて笑う私 
戸惑ってしまうあなた

あの頃に戻りたいと
望んではいないけれど
約束かわした日 懐かしいね
もうその想いをわかって
あげることができないから



居心地の良さに忘れていた
一番近くにいる方法(すべ)を
遠のく記憶の中で
それでも好きだと
ずっと言いたかった





桜並木 過ぎていく一瞬
掴まえることができるなら
離れていく私 
振り向かないあなた

隣にいることを選んだのは
私だったのに
いつの間に目指す夢 違ったの
出会えてよかったと
今になってもなお繰り返すから



深く傷つくと知って背をむけた
決して揺るがないあなたの瞳
明るい月夜の中で
それでも好きだと
ずっと言っていた




きっかけは何だったのかな
時折見せる優しげな眼差し?
言葉にすれば簡単に崩れてしまうもの
ただ儚ないその姿は 
淡い淡い願い




すれ違う先の未来があるのなら
どこへ行こうとも愛おしい
眩しすぎる過去の中で
それでも好きだと
ずっと言いたかった
< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop