君のカメラ、あたしの指先
(結局はあたしの自己満かもしれないけど)

 だとしても。

 情報を多く持つに、越したことはない。


「……しの、吉野!!」


 大きな声で名前を呼ばれて、ハッとして黒板を向く。
 鬼神オーラを身にまとった先生の姿が目に入った。

「そんなに瀧川が好きか?」

「……はい?」

「あっつい視線を送ってただろうが。気づいてないとでも思ったか?」

「……え?」

 教室の静けさが笑い声に変わった。あたしは自分の頬がびっくりするくらい真っ赤になったのを自覚した。

 違う。違うんです。そうじゃないんです。
 あたし、別に瀧川の事なんか。

 思うのに、言葉が出ない。
 有紗までがこっちに疑いの視線を向けている。
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