君のカメラ、あたしの指先
「で、どうする? 吉野さん」
「っあー…………」
書き出し早々、こんなブラックな吉野あゆみをみなさんの前にさらけ出しているのには、訳があるんですよ。
あたしは机を挟んで向かい合っている彼を、満身創痍の疲れきった目で睨みつけた。
「……だいたいカメラ弄りながらそんな話するって、どうなのよ?」
あたしに向かって話しかけているんだか、カメラに向かって話しかけているんだかまるで分からない。大事な話をしている最中だというのに、彼と視線がぶつかったのはたったの三回だけ。
教室に降り注ぐ、金色の夕日が眩しかった。夕日は彼の表情に光と影を作っていた。それだけを見ればまるで映画のワンシーンみたい、だけど、そんな感傷に浸る暇さえ今のあたしには与えられていない。
「……それもそうか」
あたしの痛烈な批判を受けて、目の前の男子はことり、と静かに机の上にカメラを置いた。
「で、どう思う? 悪い話じゃ、ないと思うけど」
真っ直ぐで曇りのない視線が、あたしを射抜いた。
「っあー…………」
書き出し早々、こんなブラックな吉野あゆみをみなさんの前にさらけ出しているのには、訳があるんですよ。
あたしは机を挟んで向かい合っている彼を、満身創痍の疲れきった目で睨みつけた。
「……だいたいカメラ弄りながらそんな話するって、どうなのよ?」
あたしに向かって話しかけているんだか、カメラに向かって話しかけているんだかまるで分からない。大事な話をしている最中だというのに、彼と視線がぶつかったのはたったの三回だけ。
教室に降り注ぐ、金色の夕日が眩しかった。夕日は彼の表情に光と影を作っていた。それだけを見ればまるで映画のワンシーンみたい、だけど、そんな感傷に浸る暇さえ今のあたしには与えられていない。
「……それもそうか」
あたしの痛烈な批判を受けて、目の前の男子はことり、と静かに机の上にカメラを置いた。
「で、どう思う? 悪い話じゃ、ないと思うけど」
真っ直ぐで曇りのない視線が、あたしを射抜いた。