君のカメラ、あたしの指先
 はーしんどい。

 さっきからため息しか出てこない。
 
 プリンターから排出される山のようなプリントを、カチカチとホチキスで止めていく。

 バツとしてやらされる雑用って、だいたいどこいってもホチキス止めか教材運びだよね。あれ、あたしの知識が偏っているだけかしら。

「小説だったらこんな時、片想いのカレとかが唐突に現れて手伝ってくれたりするんだけどなー」

 颯爽と現れる彼。

 どうしたの、何やってるの、とか声をかけてきて、気づいたら手伝ってくれてる。

 慌てていいよ、悪いよと止めるのに、「二人でやった方が早いでしょ」とか言われちゃったりして。
 
 ちょっとドキドキして、横顔を盗み見たりして。

 手がふれちゃったりなんか、するかもしれない。
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