君のカメラ、あたしの指先
意識なんかしない。
さっきつかんだ手が、思ったよりもごつごつした「男の子の手」だったことなんか。
意識なんかしない。
息がかかる距離で囁かれた声が、思ったよりもずっと低くて耳に残る音だったとか。
意識なんか……
「ここ、こっちに置いてこうやったら早いよ」
彼の手がすっと伸びてきて、置いてあった紙の場所を移動した。あたしの手の甲を掠めた指に、思わずぴくりと体がはねそうになる。
「……ありがと」
気づかれてはない。はず。全力で阻止したから。
心臓がまだばくばくとうるさくて、あたしは密かに深呼吸を繰り返していた。
さっきつかんだ手が、思ったよりもごつごつした「男の子の手」だったことなんか。
意識なんかしない。
息がかかる距離で囁かれた声が、思ったよりもずっと低くて耳に残る音だったとか。
意識なんか……
「ここ、こっちに置いてこうやったら早いよ」
彼の手がすっと伸びてきて、置いてあった紙の場所を移動した。あたしの手の甲を掠めた指に、思わずぴくりと体がはねそうになる。
「……ありがと」
気づかれてはない。はず。全力で阻止したから。
心臓がまだばくばくとうるさくて、あたしは密かに深呼吸を繰り返していた。