君のカメラ、あたしの指先

信じられない展開

「二人でやったら早かったね」

 まるで最初から二人でやるための仕事だったかのように黙々とこなして、先生のところへ届けるところまで一緒にやってくれちゃった。

 終わったら早速部室に案内してくれなんて言われて、流れに任せてはいはいなんて連れてきちゃったけど……

 いいのかこれ。
 良くないでしょ。
 

 それでもきたお客人にお茶を入れないわけにもいかず、魔法瓶を取り出して冷たい麦茶をコップに注いだ。

 彼は先日有紗がすわっていた場所。
 あたしは机を挟んで向かい側、お決まりの定位置で。

「よかったらどうぞ」

「お、ありがとう。なんていうかここ……吉野さんの家みたいだね」

「よく言われる」

 ふっ、と山田が声を出さずに笑った。


 今更だけど、向かいに座っているのが有紗じゃないなんて変な感じ。
< 43 / 66 >

この作品をシェア

pagetop