君のカメラ、あたしの指先
「なに?」

 あたしの視線に気づいてそう尋ねてきた彼はさすが、「イケメン」と言われる部類だけあって綺麗な顔立ちをしていて、思わず目を合わせるのを躊躇ってしまう。

 雰囲気に飲まれちゃだめよ、あゆみ。すでにだいぶ流されてる気もするけど、しっかりしなさいよまったく。


「ええと……それで用事って、なんでしょう」

 あたしも喉をうるおした。緊張でからからに干からびた体を冷たいお茶が駆けていった。

「用事っていうか、お願いなんだけど」

「……はあ」

 こんな、山田の下の名前もうろ覚えであるくらいに接点がないあたしへ、なんのお願いがあるんだろうか。

 まじまじと顔を見つめてしまう。彼の瞳には逆光の夕日が映り込んでいて綺麗だった。

 すっと目が細められた。真っ直ぐな視線に当てられて、何も言えなくなる。

 だけど次に投げられたその言葉に、あたしは危うくお茶を吹き出しそうになった。



「吉野さんが好きです。俺の彼女になってくれませんか」
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