君のカメラ、あたしの指先
 あたしの問に山田はううん、と少し腕組みをして考えた。

「一緒に登校できるよ」

「ひとりが楽」

「暗い帰り道も送るよ」

「家そんなに遠くないし」

「……やな事はしないよ」

「当たり前だし」

「…………一緒に本屋巡りするよ」

「あたしに付き合っても楽しくないと思うけど? ずっと同じ書籍コーナーにいるから」

「書店巡りの荷物持ちとして使っていいよ」

「……んっ」

 危ない。頷くところだった。
 なかなかに魅力的な提案をしてくる。

 眉根をぎゅっと寄せて堪えたあたしの顔を見て、山田がパチン、と指を鳴らした。


「分かった! 俺と付き合うことで、恋愛小説のリアリティが増すと思われます!
どうですか! 吉野先生」

「ぐおおおおっっっっっ」


 ダメージ2000。

 たった一言で吉野あゆみは死にました。
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