サトウ多めはあまあまデス
 ダイレクトメールが何通かと手紙が1通。

 宛先はひらがなで『さとうここあ』差出人は『さとうあいこ』お母さんの名前の愛子だ。

「あ!ママから!!」

 私の声にケイちゃんは怪訝そうな顔をした。

 ほらほら。そっちの方が素っぽい!

「ココのお母さんってもう亡くなってなかった?」

「うん。小学生の時にね。
でも手紙は届くんだ。
 きっとお空に還る前に書き溜めておいてくれたんだと思う。
 それを定期的にパパが送ってるんじゃないかな?」

「へ〜」とケイちゃんは気の無い返事をした。

「子どもの頃は天国から手紙が来てるって思ってたんだけどね。」

 ケイちゃんにそう報告しながら手紙をあけた。

 手紙にはいつも見ているママの字が並んでいた。

「へへっ。ママの字だ。」

 嬉しくてつい顔がほころぶ。さっそく手紙を読み始めた。

『しんあいなる ここあへ

 げんきですか?

 きょうは ここあちゃんに つぎのことばを おくります。

 ありがとう をいっていますか?

 ありがとうは たいせつなことばです。

 いつもかおを あわせているひとにも はじめてあうひとにも ありがとうって おもったら すぐにいおうね。

 なによりも いまめのまえに いるひとに いちばんのえがおで かんしゃをこめて いおうね。

 ここあちゃんなら できるよ。

 だってここあちゃんは ままのじまんの かわいいこだから。

 あいをこめて ままより』

 手紙をギュッと胸に抱いて「ありがとう。ママ」とつぶやく。
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