サトウ多めはあまあまデス
 優ちゃんとの待ち合わせは可愛いカフェ。

 ふわふわした栗毛とパッチリしたおめめが可愛い優ちゃんは小学生からの友達。

 フルネームは佐藤優奈(ゆうな)。佐藤仲間なのだ。ちなみに後から合流する子たちも佐藤仲間。

 優ちゃんは先に来ていた。私に気づくと手を軽く振ってニコニコしている。
 先に注文してるのがチョコパフェって本当に女の子って感じなんだから。

 変なところで感心している私に優ちゃんは小首を傾げて質問した。

「心愛ちゃん久しぶりなのに元気なくない?いつものパワフル天真爛漫な心愛ちゃんはお出掛け中?」

「お出掛けどころか家出中!聞いて〜!優ちゃん!!」

 私も乙女の代表?のチョコパフェを真似して頼むと優ちゃんに泣きついた。

「そっかぁ。急にお兄ちゃんできたんだね。」

 優ちゃんは私が食べ切れなかったチョコパフェまで食べてくれている。
 こんなに細い体のどこに入っていくんだろう。おまけに背も小さいのに。

 そんな優ちゃんが決めつけるように言った。

「心愛ちゃんへの甘やかしっぷりがやっぱりお兄ちゃんだね。」

「ううん。それはパパに言われてるからだよ。」

 私は首を振ってから追加で注文した珈琲を飲む。

 甘い物も好きだけど…少しでいいんだよね。
 甘い物は別腹って優ちゃんみたいなガチな女の子だけだよね。

 …私も性別は女の子だけどさ。

 優ちゃんは幸せそうに溶けかかっているチョコパフェを口に運ぶ。
 「う〜ん。幸せ」とか言いながら。

「でもさ。言われたからってできる?桜さんのお墨付きもらえるほどに心愛ちゃんのパパ並みの甘やかし方なんでしょ?」

 桜さん家に優ちゃんも遊びに行かせてもらったことがあって桜さんのことは知っている。
 それに翔くんルーくんの私への溺愛っぷりも。

「そうなのかなぁ…。」

「それよりケンカしたのは完全に心愛ちゃんが悪いよ。ちゃんと謝らなきゃね。」

 ほんわかしてるのに芯が強い優ちゃんはビシッと言う時は言うんだよね。
 …いえ。私が悪うございました。
はい。分かってます。

「自分が悪いのは分かってるんだけど、なんて謝ったらいいのか分からなくて。」

「お互い意地っ張りなのも兄妹っぽいじゃん。
 適当にやれる人なら朝のうちにいつも通り接してくれるんじゃない?
 …でもさ。そういう人って嫌いでしょ?心愛ちゃん。」

 う…。確かに。
 険悪なままだったはずなのに何ごともなくヘラヘラ接しられて心にもなくゴメンとか向こうから謝られるのは違うなって思うかなぁ。
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